韓国の民芸品 ※写真 蘇洞門の景勝「大門小門」
(1)泊の歴史を知る会の発足
泊は24軒の小さな集落です。海の仕事、山の仕事を中心に従事し村人は仕事の上でも顔をつきあわせて生活していましたが、昨今の事情で仕事も多様になり、共同意識もうすらいできました。一方、環境がよごれ始めたり、伝統行事もすたれて、ふるさと意識が薄くなってきました。
先祖から受けついできたこの美しい村をなんとか大事にしていきたいと、「泊の歴史を知る会」を結成しました。この2年間の歩みをご報告し、皆様方からご指導いただければ幸いです。
それでは、写真などをもとにご説明いたします。
(2)取り組みの経過
■泊の村の紹介
●私たちの住む泊村は、24戸、人口118名の小さな漁村です。内外海半島は泊山の裾の、南向きの陽当たりのよい扇状地にあります。村の中には泉があります。
●村山の背面には、「大門小門」などで有名な天下の奇勝「蘇洞門」があり、小浜の観光スポットになっています。
●豊かな海の資源に恵まれ、ワカメ取り、定置網、磯釣り、磯見漁などで生計をたてています。
●村の中央には若狭彦姫神社があり、毎年9月1日には「酒事」という伝統行事があります。しかし、年々伝統行事もすたれていき伝承が切れがちになってきました。私たちの活動は、まず、伝統行事を記録し、正しく伝承していくことから始めました。
写真 泊の風景 船祝い
●まず、自主講座を開いて、学びの場を設けました。郷土史研究家の先生にきていただき、泊の村に関する話をしていただきました。また同時に、古老と語る会を開いたり、村の中の史跡を探したり、自分たちでも村の歴史や民俗について調べ始めました。
■活動開始
●諏訪の森神社跡、山の神、古墳、大崎の台場などを歩き、専門家から説明を聞きました。
諏訪の森の調査 山の神にある古墳
■調査活動
●村の歴史や民俗を調べていくと、美しい村にしたいという思いはますます強くなります。私たちは、村の各所にこんな看板を立てたり、また、いろんなところの整備を始めました。お決まりの総出ではなく、自分たちの住む村を美しくしたいという気持ちです。つり客のポイ捨てゴミ対策として、さんまいに手作りのフェンスを作りました。老人会も自主的に、諏訪の森を整備して美しい神のよりしろである鎮守の森を守る取り組みをしてくれました。婦人会は、トンネルの入り口の花壇の草取りや整備を続けて取り組んでいます。
■美しい村に
●ロシアタンカーの重油事故の時は、海が汚れ、村総出で何日も重油回収をしました。この時、あらためて、ふるさとが汚れることの悲しさを体験しました。
●薄れていた共同意識を回復し、区民のパイプをつなぐのに伝統行事を大切にしていくことの大切さを考えています。最近ばらばらで行っていたどんど焼きも今年から、区民そろって行うようにしました。酒事という行事のとき、区民全員そろって写真をとりました。
■村中そろって
●昨年9月に、泊の歴史調査の第1号の成果として、「韓国船遭難救護の記録」を出版しました。
●今から98年前の明治33年、ウラジオストクを出航して韓国に向かっていた韓国船が、暴風に遭い、二週間の漂流で生死の境をさまよった韓国人93人が、泊に着いたのです。救護の記録の全貌が一冊の本にして改めて祖先の善行に感心しました。韓国併合というきびしい時代におこった民と民の出会い、交流を、これから、伝えていきたいと思います。
●この本の出版に感動し、韓国の新聞「東亜日報」が韓国全土にこの話を伝えました。子孫探しが始まり、子孫が出会うとき、日本海の共生にたいして、小さな村が何らかのお役にたてる時がくると思っています。
●ささやかな出版記念会は、映画会をしました。日韓共同製作の「愛の黙示録」をお寺で上映し、小浜からもたくさんの参加してくれました。
■歴史を伝える
●区民の気持ちをつなぎ、私たちの学びを蓄積するために、このような「かわらばん」を発行したり、「泊オリジナルカレンダー」を毎月発行したりもしています。区民にも大人気で、平成10年度は1年間まとめて作りました。
■記録し、話題をつなぐ
(3)今後の課題
以上、概略をご報告しましたが、私たちの歩みは今、始まったところです。今後、この活動を持続し発展させてゆくための努力をしていかなくてはなりません。村の中での課題、また、対外的な交流など、今後区民一丸となって取り組んでいければと願っています。皆様から、いろいろお教えいただければ幸いです。どうもありがとうございました。
(内容は、2.28ふるさとづくり大会で発表した原稿の一部です)
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