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韓国農業視察 (農業情報ネットワーク大会2002in福井 プレイベント) |
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2002年8月22日から24日にかけて、福井で開催される第14回農業情報ネットワーク全国大会のプレイベントとして韓国を訪れました。 メンバーは大会実行委員長の菊沢教授を始め、北部エコファーマー6名、農協の営農指導員、普及員、カメラマンそれに私の11名です。 韓国では、農業振興庁の李歩(リーチョルヒ)氏に案内していただきました。 今回は、(1)IT利用の農業経営、(2)親環境農産物の生産と販売、(3)農産物流通とインターネットという3つの視点でとりまとめましたので掲載します。 |
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(1)IT利用の農業経営 |
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![]() ![]() 1997年にハーブ栽培をはじめたオーナーが、法人化して、ここまで事業拡大できた裏には、イム・ホーピン氏のインターネットによる情報発信が大きな力になっている。イム・ホーピン氏はコンピュータ関係の大学を卒業し、水原市にある韓国農業振興庁でホームページ作成のアルバイトをしていたところへ、ハーブ園のオーナーから誘われ、ハーブ園のホームページ作成に取り掛かることになる。1年の準備期間を経て1999年4月にインターネットホームページを立ち上げる。しかしホームページを立ち上げただけでは、半期で3000万円の売上と年間3、4万人の来園者にはならないであろう。 「ホームページを立ち上げ、これまで順調に事業が伸びてきたのは、送られてきた電子メールにも丁寧に対応したり、ホームページの管理をしっかりしてきたためと思う」と胸を張る。ホームページの開設によりハーブティーの注文が来るようになり、加工販売も始めるようになった。それにより生産農家と加工販売業者の両面を持つことになり、2000年12月には法人を設立し中小企業の支援を受け、ベンチャー農業第一号にもなった。 彼は今、コンピュータの技術を持った同世代の人に比べ給料は安いが、7人の部下を任され、ホームページやハーブガーデンでの顧客対話を通じて経営を支えているという責任感のある仕事に満足している。 韓国は今、インターネットを使った情報化に官民上げて取り組んでいるが、このハーブ園はIT利用農業経営の成功例といえる。このような先進事例に続くIT農業が次々に出現することが期待されている。 |
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(2)親環境農産物の生産販売 |
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![]() ![]() ![]() 農協のマーケットには認証農産物のコーナーがあり、認証マークのついた農産物が並んでおり消費者の高い関心がうかがえる。1994年、韓国の農協中央会で環境農業課を新設し、環境農産物の販売に力を入れてきたことが、成果として現れていると考えられる。新聞によると、有機栽培農産物は、一般農作物に比べ2倍程度の価格で売られ、特にキャベツは5倍を超えているという(韓国経済2002.1.17)。 このような消費者の農産物の安全に対する強い関心を背景に、有機農産物関連のインターネットサイトも多くなっている。有名な有機農産物専門サイトのe-farm (www.efarm.co.kr)では、米、雑穀、野菜、果実、畜産物、水産物など有機農業関連の団体や全国の農家との契約栽培を通して、約500種の農産物を販売しており、多様な消費者ニーズの対応に一役かっている。 |
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(3)農産物流通とインターネット販売 |
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![]() 「ここで販売されている野菜は、個人農家からの直接仕入ではなく、20km県内にある近隣の作目班から入荷しています。作目班というのは40〜50名の専業農家で構成する作物生産部会です。この店での生鮮野菜のすべてをこれら作目班から仕入れています」と店長が熱っぽく説明し ![]() ソウル近郊の大型ディスカウントショップ「ハナロクラブ」は、農協中央会が出資する株_協流通が経営する量販店のうちの一つだ。1日の売上は小売で約1億1千万円に達する優良店である。店内は加工食品などがうず高く積まれ、アメリカの量販店を思わせる倉庫棚のようなシンプルな店内である。また、農産物売り場では、親環境農産物コーナーが設けられ、認証マークのある農産物が所狭しと並んでいた。日本のAコープでは、品揃えのため輸入農産物を扱っているところが多いが、ハナロクラブでは、農協の方針で国産の農産物しか扱っていない。 ![]() 情報化による流通改善もその一つで、韓国農林部では2004年までに農産物の電子商取引を農産物取引の20%にまで拡大する目標を掲げており、またその実現のために一万戸の農家のウェブページ構築を支援し、情報の交流やインターネット販売に活用するよう推進している。 これらに関連して、各地の農協と連携して各種農産物を販売するサイト(www.shopping.nongyup.co.kr )、農産物統合ショッピングモール(www.a-peace.com )が開設され、また、変わったところでは都市住民に農業や農村に対する関心を深めてもらうため、150の都市と連携して情報交流や地域農産物の販売をインターネット上で行うサイト(www.egohyang.com)も現れた。 これらインターネット販売で成果をあげている農家はまだ少ないが、近年の韓国の新しい動きは、日本の農業、流通を考える上で参考になるものも少なくない。 ネットワーク大会では、このような韓国の事例を参考に、日本の農業について考えていきたい。 |