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福井県特別栽培農産物認証制度について |
はじめに 福井県では2001年4月に農林水産部農産園芸課の中に環境調和型農業推進室を設置して、環境にやさしい農業を推進する体制を構築しました。この推進室の主な業務の一つに特別栽培農産物認証制度があります。ここではこの制度がなぜ生まれ、現状はどうなっているのかを説明したいと思います。 環境にやさしい農業への流れ ご存じのように、農業政策の基本である「農業基本法」が1999年7月に「食料・農業・農村基本法」として生まれ変わりました。従来の農業基本法は、国際的農業経済学者の権威であった東畑精一氏が中心となってまとめられたもので、『農業そのものをどうしていくか』という視点、すなわち『農家のための農業基本法』であったわけです。 それに対し新しくできた「食料・農業・農村基本法」は、農業分野の専門家でなく、西洋の歴史を専門とする木村尚三郎氏が国民の視点、すなわち国民のための『食料・農業・農村基本法』として取りまとめたものです。 この食料・農業・農村基本法に掲げてある4つの基本理念の一つに、『農業の持続的発展』があります。これは、これまでの農業が生産を重視する余り、環境に対する負荷を大きくしていたことなどの反省に立ち、農薬や化学肥料の使用を減らし、堆肥などによる土づくりをしっかりして、環境を汚さず、有機物のリサイクルを通して、農地の生産力を維持し、子孫にいい環境と生産力の高い農地を残していこうとするものです。 環境保全型農業にかかわる法律 新しい農業基本法を踏まえ、環境保全型農業にかかわる法律がいくつか制定されました。 代表的なものが農業環境三法といわれるもので、(1)環境にやさしい農業を実践しようとしている人を「エコファーマー」として認定するもの、(2)堆肥などの適切な利用を図るため、成分含量表示などを義務づけ、品質の保全を図るもの、(3)畜産ふん尿の、有機資源として堆肥化を促進させるものの3つです。その他に、JAS法の改正による有機表示の明確化等があり、国ではこういった一連の法律で環境保全型農業を推進して行こうとしています。 福井県の取り組み 福井県ではこういった国の動きを踏まえ、2000年3月に環境調和型農業推進基本方針を策定しました。この中では、堆肥の投入などによる土づくり、余分な農薬の使用を減らすための総合的病害虫防除技術の推進、堆肥を作るための有機性資源の活用を促進することを基本方針として定めています。 具体的にこれらの基本方針を推進するために、土づくり、化学肥料・農薬の使用を低減した栽培を平成22年(2010年)までに20,000haにまで拡大するという目標を設定しました。 また、国のJAS有機で必要な3年間農薬や化学肥料を全く使わないという厳しい基準より少し緩和し、より多くの生産者が取り組めるよう、福井県独自の福井県特別栽培農産物認証制度を設置し、こういった取り組みを広く推進していこうとしているわけです。 この特別栽培農産物認証制度の詳細については、以下のホームページを参照して下さい。 http://info.pref.fukui.jp/engei/ninnsyouseido.html 福井県の認証制度は2001年4月に開始し、初年目は最終的に171件の申請となり、予想をはるかに超える件数で、生産者の関心が非常に高いことを示していました。 また、トータルの申請面積は304haとなっており、その内訳は米が73%、野菜が23%、その他4%でした。 野菜について3つある認証区分別に見ると、85%が化学合成農薬の使用を半分以下にし、化学肥料を使わないという『減農薬・無化学肥料栽培』の区分で、次いで多いのは化学合成農薬や化学肥料を一切使わない『無農薬・無化学肥料栽培』の区分(14%)であり、これら2つの区分で99%を占めているという状況でした。 野菜の量販店での取扱量を見ると、根菜類のタマネギや葉菜類のほうれん草などが多く、果菜類も小口の販売では結構出ているものと思っています。 周りの知人に聞きますと、認証シールを貼った農産物を見たという人は何人かいましたが、そのシールがどういう意味を持っているかとなるとほとんど知らないというのが現状です。 こういった環境にやさしく、安全で安心な農産物を生産するには、これまでの農薬や化学肥料を使った慣行栽培に比べ手間をかけて栽培している場合が多いのですが、販売価格にその手間代が適正に反映されていないことが多いと言われています。 いずれにしても、こういった農産物は買って下さる消費者がいて成り立つものですから、理解していただける消費者が一人でも増えるようPR活動を継続的にやっていくことが大切だと思っています。それによって環境にやさしい農業が推進され、安心で安全な農産物が供給されるものだと思っています。 皆さんも、野菜売り場に行ったら「福井県特別栽培農産物認証マーク」(最初に示した緑、黄、青の丸いマーク)を注意して探してみて下さい。 (2002.3.8) |
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