個人事業主になるときの届け

個人事業として開業するときに必要な届けには以下のものがあります。

私が開業した時には、これらの届けをせずに事業を開始したので、 最初の確定申告の時に税務署から書類が届きませんでした。
そのため確定申告をするために直接税務署に出向いて申告することとなりました。
そのときの状況といいますと、 税務署に到着し確定申告の順番待ちの札をもらう。 順番が来て案内された税務署員の机の前に座る。 今回が個人事業主として初めて確定申告に着たことを伝える。 そこで初めて開業届けなどがあることを知ったわけですが、このとき 「じゃあここで開業届けを書いてください」
と言われて届けを出しました。

税務署に来る前に既に友人から貰ったパソコンの会計ソフトで一通りの会計処理を行っていて、 貸借対照表、損益計算書、現金出納帳、預金出納帳、経費帳、などを揃えて持っていきました。 これらの書類は会計ソフトで印刷した書類でした。

パソコンの会計ソフトを使っていることを税務署員に告げると
「何のソフトを使っていますか?」といわれたので
「弥生会計を使っています。」と答えると、「じゃあ問題ないですね。青色申告でOKです。」
といわれました。(青色申告会では「弥生会計」を推奨しているようです)


所得税の青色申告承認申請

個人事業主の所得税の確定申告の方法には「青色申告」と「白色申告」の2種類あり、 さらに青色申告にも2種類(65万円控除と10万円控除)あります。 青色申告の65万円控除は、複式簿記での記帳が前提で、以下の帳簿付けが必要で、損益計算書と貸借対照表を作成します。
 ・現金出納帳
 ・売掛帳
 ・買掛帳
 ・経費帳
 ・固定資産台帳
 ・総勘定元帳
 ・預金出納帳

また、10万円控除は簡易簿記での記帳を行い、損益計算書のみを作成する。
 ・現金出納帳
 ・売掛帳
 ・買掛帳
 ・経費帳
 ・固定資産台帳

パソコンの会計ソフトでは複式簿記での入力が簡単に行えますし、 決算書の損益計算書と貸借対照表もすぐに作成できます。 (決算書を作ることを目的に会計ソフトが開発された訳ですので当たり前のことですが。)

青色申告で複式簿記(会計ソフト利用)で税金の計算の元なる金額から65万円を控除できるので、絶対に有利です。
例として課税所得金額が300万円の場合以下の様になります
・青色申告10万円控除:(300万円-10万円)×10%-9万7500円=19万2500円
・青色申告65万円控除:(300万円-65万円)×10%-9万7500円=13万7500円
5万5000円分、所得税が安くなります。
5万5000円ぐらいと思われるかもしれませんが、税務署に申告された所得税の金額を元にして 県市民税が計算されますので、そちらの方でも3万~4万ぐらいは安くなるはずで、 合わせて10万円弱ぐらいの節税になります。

国税庁のホームページ
「所得税の青色申告承認申請」にはその他参考事項として備付帳簿名の記載があるのですが、 以下の帳簿を付ける事としました。
 ・現金出納帳
 ・売掛帳
 ・買掛帳
 ・経費帳
 ・固定資産台帳
 ・総勘定元帳
 ・預金出納帳

もっとも帳簿を付けると言っても、会計ソフトを使いますので全ての帳票は決算時期に印刷出しておきます。 通常の会計処理では、現金出納帳、預金出納長、売掛帳、買掛帳に伝票入力するだけです。

所得税の減価償却資産の償却方法の届出

この届出書は減価償却資産の償却方法を定率法にしたい場合に提出する書類です。
減価償却資産とは事業のために長い年数利用するもので、車両・機械・建物などの金額が大きいものを言います。 これらの資産は購入した時に一括で全額が経費になるわけではありません。
何年間に渡って一定金額(一定割合)が経費(減価償却費)となります。
法的に指定された期間(年)に渡って経費が認められ、資産価値がその経費分マイナスされます。

減価償却方法である定額法、定率法がありますが、定率法を選択する場合のみこの届出を行います。
届出を行わない場合は、定額法で償却を行うものとみなされます。そのため、決算時の提出資料は定額法で行わなければなりません。


定額法、定率法それぞれに長所、短所がありますが、 定額法は毎年同じ金額で経費として計上できますので、計算が簡単であるといえます。
定率法は毎年同じ割合で購入金額に掛けたものを経費として計上できますので、 最初は計上金額が大きく、後に行くほど小さくなっていきます。
減価償却資産を購入してすぐに大きい金額の経費としたいのであれば、定率法がいいのかもしれません。
しかし、売上が小さい場合も毎年同じ金額の経費となる定額法もいのではとも思います。

私はこの届出を行わなかったので、定額法で減価償却処理を行っています。
後から考えると定率法の方が良かったかなとも思いますが、 そんなに資産を購入することもないので、そのままにしています。

以前は、10万円までは減価償却資産ということで一括経費計上できなかったのですが、 最近は青色申告であれば30万円までの小額資産は一括経費計上できますので、 パソコンの良い物をかっても30万円を超えないですし、 これも青色申告の有利なところかなと思います。

青色事業専従者給与に関する届出

自分の家族(妻、子供)に仕事を手伝ってもらって、支払った給与を経費として計上することができるための届出です。 儲かった金額の中から妻への給与分が経費となる分、節税になります。


■青色事業専従者とは?

国税局のホームページからの内容そのものですが、 青色事業専従者とは、次の要件のいずれにも該当する人をいいます。
イ)青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
ロ)その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
ハ)その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、
  その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。


■給与金額をいくらにするか?

自分の妻を専従者給与者にするのであれば、年間の金額が配偶者控除の38万円以上でないと せっかく専従者給与者にする意味がありません。

私の場合は、金額を月間8万円としました。年間では96万円です。
この金額ですが、よく巷では「103万円の壁」などと言われていますが、なぜ103万円なのでしょうか。
それは、給与所得者の基礎控除額としての38万円と、給与所得控除後の年税額の区分で65万円以下は 所得税が掛からない(0円)ことからきています。
つまり私の妻の場合は
・96万円-38万円=58万円
65万円なので所得税の申告は必要なくなります。

届けに記載する金額は上限の値で、実際に支払う金額はこれ以下でもOKです。
実際に私も売上が少ない月は8万円よりも少ない額を支給しています。

専従者給与を払う場合には給与者の源泉徴収の処理と税務署へ書類を作成し送付しなければなりません。
これが結構手間ですので、所得税を払わない(一人のみの専従者給与者)の書類作成の様子は 後ほど別のところで記します。

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